転生王女と天才令嬢の魔法革命 12話「彼女と彼女の魔法革命」(最終話)


最終話。

運命を受け入れて多くを諦めてしまおうとするアニスが王になることは許せないユフィと
精霊契約という一生を捧げるほど代償を払ってまで私のためにそこまでやらせるわけには行かないアニス

平行線の2人の意見の決着を付けるためには
もう戦って決めるしか無い。


これまでドラゴン戦では魔道具の性能を
アルガルド戦ではマナブレイドの長所/欠点と強力なドラゴンの力を見せてきたアニスですが

ユフィも全ての属性が使える精霊に愛された天才なので
全力を出せばかなり強いです。

今までは一つの属性の魔法を使うことはありましたが
全属性を混ぜた魔法の6色の光は虹のようで

まさにユフィを表す虹を意味するアルカンシェルの魔法

そんな美しい魔法を眼の前にしたら
今のアニスの全力技である「架空式・竜魔心臓(ドラゴンハート)」でも勝てませんよね…


そこからの流れは早かった

アニスが目を覚ますとユフィに膝枕されてるし
夜になるとベッドに並んで座って会話していたはずなのにキスから押し倒しキスだし!!

そうです、これが「転天」のユフィアニなのです!!!

アニメで描いてくれてありがとうございます!これを待っていました!!


ユフィは一度決めたら諦めない子
アニス様、諦めましょう。


貴族にも平民にも、広く新しい時代と魔道具の可能性を知らしめるためとして
多くの国民を集めて開催したイベントでは
アニスがあの日から憧れ続けた空を飛ぶ魔法の集大成である飛行をパフォーマンスとして
アニスとユフィが仲良く手をつないで、そしてアルカンシェルセレスティアルを使って美しい虹を空に描くことによって

あの日の衝撃的な事件と出会いから始まったアニスとユフィの関係性が親密になり
次第に魔法と魔学を通して国を動かし始めるところまで来たという、大きな物語を感じられてとても良いですね…

この日のために用意したドレスのデザインだけでなく
飛行魔法を発動した時に見える羽根がそれぞれ違うというのも最高です。


ラストを締めくくるのは忙しくなる日常、その1日の始まりだけど
そこにはイリアが居て、レイニも侍女として頑張っていて

出かけるときには隣には当然のようにユフィが居て、そしてキスをする。

もちろんユフィの方が積極的で
それに少し居心地の悪さを表情に出しつつも受け入れるアニス

最高です。




全12話、終わりました。

原作小説とTVアニメ

アニメでの物語は
原作小説では第3巻までの話になります。

1巻は婚約破棄とドラゴン討伐、
2巻はアルガルド戦

この1、2巻で事実上の前後編という形になり
残る問題である王位継承問題が第3巻になります。

ですのでアニメ化をするなら
第3巻までの物語までにするとアニメ的にも綺麗に収まるので完璧。

ただアニメは全12話の1クールと時間が限られているので
その中に小説3巻分のストーリーを詰め込むのは多くを削る必要もあります。

なのでアニメ化にあたっては原作小説と比べると
細かい部分が削られていたり、サブキャラの役割が一部シーンで入れ替わっていたりと細かい改変はあるものの
全体のストーリーと終着点は崩していないので(ここを崩すと別作品になってしまう)
原作を既読済みであっても満足の行くテレビアニメ化と言えるのではないでしょうか。


例えば、アルガルドが離宮を襲撃した際に警報装置が作動しますが
原作には確か無かったはずの誤報シーンを物語序盤に入れて、
一度警報装置の存在と警報音を視聴者に見せることで
襲撃時の状況が自然と入ってくるようになっていたり

アニスがアルガルドに最後の一撃を加えようとしてユフィが止めに入るときに
破損するほどにアルカンシェルを使うのではなくアニスに抱きつくように飛び込んで止めたり

あとは細かいところで、アニスやユフィの困った時の相談役としての色を濃くして
絶妙な立ち位置と良いキャラしてるティルティの出番が増えたり。


ほんの少しだけ引っかかるところを挙げるなら、
最終12話の後半にてユフィが勝負に勝ち、王家に養子として入ることが決まってすぐに
オルファンスが退位を決断したことをアニスたちに伝えるシーンがありましたが

原作小説ではもう少し先のシーンになっていて
先述したアニメ化された範囲の第1~3巻のその先、第4巻、しかも終盤のシーンになります。

後継候補が決まってすぐになるので
オルファンスが焦っているような忙しい印象も与えてしまいますが
きっと物語の収まりを重視したのでしょう。

ただオープニングの映像の中に一瞬だけ映るカットの1つにもある
即位式」まではアニメ本編では描かれていないので
この後の物語もアニメで描くことになったとしても
少しずつ修正を加えれば何とかなるとも言えるので
このくらいなら許容範囲といっても良いかもしれないですね。

オープニングとエンディング

「転天アニメ」は何と言っても
オープニングとエンディング、どちらも素晴らしい!



アニメの主題歌は初めて歌唱された花たんさんの「アルカンシェル」は
歌声の伸びや広がりが素晴らしく
個人的にもかなり好きなタイプの楽曲です。

オープニング映像も、憧れを持ったアニスとユフィの幼少期の姿から始まり、
アニスとユフィを表現するキーワードでもある「空」と「虹」が効果的に使われていて
初見から美しいアニメのオープニングだと思えると同時に

太陽に手を伸ばす姿だったり、何度か登場する二羽の白い鳥だったり
もちろん歌詞そのものもそうですが

物語が進んでから見るとキャラクターの心情だったり
キャラクター同士の関係性だったり、メッセージが込められているという演出も
アニメならではで、何度も楽しめるという意味でも本当に素晴らしいです。


アニメを全話見終わってから
改めてじっくりと歌詞を噛み締めたいという方には
花たんさん本人がセルフカバ^という形で
最終話の放送直後に公開した「アルカンシェル」の動画をオススメします。とても良いですよ。




そしてエンディング「Only for you」は
アニスとユフィのキャラクターソングという形になります。

最終的には映像は3つのバージョンが作られました。

初期バージョンではサビ部分での左右の切り替えについて様々なコメントがあったので
見やすさ向上のためにバージョン2が作られたものと推察出来ますが
ノンクレジット版ではそこまでチカチカしないので
同じクレジット表示が左右に高速で切り替わるのが1つの引っかかった原因なのかも。

それはそれとして、
このエンディングはアニスとユフィの2人の関係性が表現されていて
アニメのBlu-rayでは特典としてそれぞれアニスとユフィの歌詞違いのソロバージョンが収録されているほどです。

2人を表現するのは歌詞や歌だけにとどまらず
物語終盤での王位継承問題でアニスから笑顔がなくなり、ユフィとも距離感を感じられる場面に入ると
サビ部分ではユフィのみにしか色が入らなくなり、サビのラストでもアニスからは近づいてくれないなど
アニメ本編の動きにも合わせて細かく心情が表現されていました。

こういうスタッフのこだわり、素晴らしいです!


キャラクターとキャスト

アニスフィア役に千本木彩花さん
そしてユフィリア役は石見舞菜香さんというキャスティング、見事です!


アニスの普段はちょっとふざけているような楽しい感じだけど
実際はしっかり物事を考えている真面目な表情もする難しいキャラに
千本木さんの声質と演技力がしっかりハマっていて
序盤の楽しげなシーンから力の入るバトルシーンまでアニスそのもので
見ていてすぐに惹き込まれました。


石見さんはこれまでも多くの作品に出演されていますが
どちらかと言うと、ウマ娘ライスシャワーに代表されるように
少し高めの声の印象を持つ方も多いかと思われますが
ユフィのように少し低めで強い意志を感じるような
しっかりとした声も素晴らしい事に多くの人が改めて気付いたと思います。

婚約破棄されてどうしようもなく絶望の中にいたユフィ、
離宮での暮らしに慣れ初めて様々な表情も見せるようになったユフィ、
魔法の才能を発揮する戦闘シーンでの力強い姿を見せるユフィ、
何度も積極的にキスをしてアニスに甘えるユフィ、など

硬い印象から柔らかい印象、甘えん坊の印象、
どのユフィも石見さんの硬くも柔らかくも自在に演じ分ける声優としてのスキルの高さには驚かされます。


あとは、レイニ役の羊宮妃那さんは
アルガルド戦の前の状況が分からず戸惑う姿が素晴らしかったし

ティルティ役に篠原侑さんは
石見さんのように声が低いキャラも高いキャラも安定感が抜群で
ティルティのように少し低めでどこかセクシーさも感じられるようなキャラでもぴったりで

突き放すような冷たいセリフのようで、その裏にある優しさやアニスへの思いやりを感じさせる
ティルティの良さを見事に引き出していました。


アニメの範囲では悪役としての振る舞いがメインになっていまったアルガルドも
間違った方向にダメになっていく国を大きく変えなければ行けないと思った故の行動であり
手段を間違ってしまっただけで悪い子では無いのですが

この方法しかないと信じて突き進み、立ち塞がるアニスに正面からぶつかって、そして倒れるまでの
坂田さんの魂の演技、とても印象的です。

それに坂田さん本人としてもこの作品が好きというのが伝わってくるのもポイントです。



第1話の「王女と令嬢の魔法革命」と第12話「彼女と彼女の魔法革命」

千本木さんと石見さんも仰っていましたが
「王女と令嬢」という距離感を感じる表現から
「彼女と彼女」という見知った近い間柄に変化する第1話と最終話のサブタイトルの違いも面白いですね。

本編だけではなくオープニングやエンディング、そしてこういったサブタイトルに至るまで
アニメ全体の広い部分で制作スタッフのこだわりが詰まっていると
見ているこちらも楽しくなるのでありがたいです。

他の1月アニメでは複数の作品が6話あたりで制作が追いつかなくなり放送が休止する自体に陥っていますが
この「転天」では最初から最後まで高いクオリティの映像で
"ディオメディアの本気"に多くの人が驚いたと思います。


そんなスタッフからもキャストからも愛された作品、
TVアニメ「転生王女と天才令嬢の魔法革命」

原作小説は第6巻まで発売されており、先日第7巻の発売が発表されました。

続きの物語を描くストックも順調に揃ってきていますし
CMでも謳われた「王宮百合ファンタジー」が本領を発揮して大暴れするのは
アニメで描かれた部分の次からなので「もっとユフィアニを見たい!!」という言葉が届き、
続きの物語が再びアニメで見られるその日を期待しています。

素晴らしい作品をありがとうございました!



<公式サイト>
TVアニメ「転生王女と天才令嬢の魔法革命」公式サイト
最終話放送記念コメント - スペシャル | TVアニメ「転生王女と天才令嬢の魔法革命」公式サイト

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転生王女と天才令嬢の魔法革命 カテゴリーの記事一覧 - 深夜アニメ実況の果て。