RELEASE THE SPYCE 12話「ツキカゲは永遠に」(最終話)

最終話。

敵を欺くにはまず味方から、とは言い事もあり
命が二重スパイだと言うのはもちろん何となく分かってはいたものの
あの軽い感じの命のキャラクターだからこその迫力と怖さがありました。

何も聞かされていない状況で師匠を失い心神喪失の状態から
弟子3人で立ち上がり、逃げずにモウリョウに挑む展開。熱い。

ガスの散布装置は少し離れた別の場所にあったので
雪が支援して弟子3人で乗り込むが敵の数が多すぎて思うように先に進めない
ガスの散布が進む中、時間との戦いになり
文鳥の女のもとへと辿り着いたのが、モモ1人。

かつて雪の師匠だった長穂さんが斬られ、
雪も負傷した強敵を目の前にしても一歩も怖気づく事なく挑むモモ。

文鳥の女の高い刀の技術はもちろん
相手のことを徹底的に調べているからこそ
モモに殉職したモモの父親の話を振りますが一切モモは気を取られません。

敵は言葉で油断を誘う事がある、
これも前に雪師匠から教えられた事の1つでした。
それをしっかりとモモが身に付けている事が分かるシーンです。

一瞬のすきを突いて文鳥の女を斬ったモモの姿は
堂々としていて昔のモモとは違う心強さがありました。



雪は前にモモにこうも言っていました。
スパイスの効き目が無くなるとツキカゲを引退して記憶を消すか支援側に回ると。

師匠の言うことをしっかりと覚えているモモもこの事は理解していたはずですが
こんなにも突然に別れが来るとは思わなかったはず。

モモにとって師匠と弟子の関係になりツキカゲで過ごした時間は雪との時間の全てなので
その期間の記憶を全て消去するのは雪との出会いも無かった事になってしまう。

そう考えると記憶を消す役目をモモにさせるのは酷な気もしますが
雪の覚悟も分かっているモモは時間を少し置いて、引き金を引いてくれたのでしょう…


普通の高校2年生から、ツキカゲとして雪の弟子へ、そして師匠へ。

9ヶ月後、モモも新たに弟子として伊智香ちゃんを取りますが
雪の教えをしっかりと叩き込まれた優しいモモなら伊智香ちゃんと良い師匠と弟子の関係になれそうです。

記憶を消したはずの雪もどうやら
モモと伊智香ちゃんを応援してくれているようです。





全12話の放送が終了しました。

RELEASE THE SPYCE、リリスパは原案とシリーズ構成にタカヒロ
キャラクター原案になもりを起用している事もあって
放送前から活発なPR活動が行われていた作品だったので
放送を楽しみにしていました。


リリスパは女子高生がスパイとして街を守り
スパイスを使ってパワーアップして敵を倒す作品で
大きなテーマとして師匠と弟子の関係があります。

夜の工場で活動をしていたツキカゲの(この時は正体こそ分かっていませんでしたが)姿を目撃し
それを学校の教室で話していたことから命たちに目をつけられ、
雪の弟子としてモモがツキカゲに加入するところから物語は動き始めます。


最終話の放送を見たあとに、もう一度1話から見返してみたのですが
師匠と弟子、雪とモモの関係、訓練の様子、セリフの1つ1つまでしっかると作り込まれていて
その教えが後の展開のここに繋がるのか、と驚かされる場面のいくつかありました。

例えば先程も書きましたが、雪とモモが学校の屋上で水を零さないように特訓をしている時に
敵は時に言葉で相手の油断を誘ってくる、とモモに教えていましたが
それをしっかりと理解していたからこそあの最終決戦の場で
文鳥の女がモモの最も心にダメージがあるだろう父親の殉職に関わる会話を振ってきたにも関わらず
モモは一切気を取られる事無く刀を構えられたのです。

そこからも雪の教えに真剣にモモが向き合っていたことが分かります。



全体としては悪の組織であるモウリョウと正義のスパイ組織ツキカゲの戦いになるのですが
敵側のキャラクターも個性的で憎めない感じなのもリリスパの特徴ですね。

文鳥の女が雪や長穂さんを切り捨てたところは悪の組織としては十分に許せないですが
いつも連れている文鳥が好きなのは事実らしいです。餌も自分で吟味しているとか。

白虎はすぐに仲間になりましたし、
テレジアも過去の事があって初芽と敵対しましたがどこか心の迷いがあり根っからの悪い子では無かった。
見た目のインパクトは凄まじく中の人が早見沙織さんである事が二重のインパクトとなったドルテも
幾度となくモモを襲撃してきましたが最終的にはカトリーナさんのところで手伝っているような様子もあったので
ドルテも同様に悪いやつじゃなかったんでしょう。

ただ文鳥の女があのまま消えたとは思えませんので、またいつかモモの前に現れそうな予感がします。


キャラクターを詳しく見ていきましょう。

まずはモモ、主人公。

普通の女子高生のようで実は視力や嗅覚が人より鋭く、
そして何より舐めるだけで相手の感情や体調を読み取る特殊能力がありますが
これはツキカゲに加入する前から持っており、
何故モモがこのような力を持っているかの謎は最後まで明らかになりませんでした。

最初は憧れの雪と一緒に居られるという気持ちが強かったと思いますが
ツキカゲに加入してからは一気に実力を付けていき
最初のミッションでは鍋の上でロープで拘束されて吊り下げられていたのが懐かしくなるほど終盤では心強い存在になりました。

リリスパ」はモモの成長物語でもあり
最初は新入りの弟子として右の左も分からないような存在だったモモが
最後には自分が弟子を取る師匠にまでなってしまいましたが
雪に怒られて落ち込むモモを励ますために集まったように五恵や楓との弟子3人同士の関係もとても良かった。

立場が師匠となっても五恵や楓との関係性はずっと変わらないでいて欲しいですね。

モモの可愛い感じの声と、敵を対峙した時など力強く声を張る時の演技が
とても安定していてどんな状況でも不安定にならない声の安定感が印象的で
キャストである安齋由香里さんの技術力の高さを思い知りました。

TVアニメには2017年から出演し始めた新人さんではありますが
中の人のキャラクターも楽しくて何より本当に楽しんでいるのが分かる笑顔が素敵な方なので
今後の活躍も楽しみな注目の声優さんです。


続いて五恵ちゃん。
楓やモモと同じく弟子でありながら実は雪などより上である横綱ランクのツキカゲの秘密兵器。
パワータイプで接近戦では圧倒的な強さを誇ります。

他の子に比べて雰囲気は少しふんわりしていますが
高身長でスタイルが良く、仲間想い。

師匠である初芽さんの大事な友達であるテレジアとも友達になりたいと説得した他、
沖縄に行った時は初めは敵対していた王香とも親友になりました。

見た目からは想像できないくらい友達作りが上手い。

モウリョウのガスを吸い込んで錯乱状態になり組織に乗り込んで壊滅させた時、
五恵ちゃんのキャラクターソング「Sugar & Spice」の英語の歌詞とメロディに乗せて
次々と道具を華麗に使って暴れる姿はスタイリッシュで格好良かったです。

五恵ちゃんについても中の人の話をすると
キャストであるのぐちゆりさんとモモ役の安齋由香里さんとのやり取りが面白すぎます。
のぐちゆりさんの方が先輩なのに
全くそうは見えない言葉の殴り合い…じゃれ合いが楽しいんです!


次は楓、ふうです。

命の弟子であり、命の事が大好きで、命と一緒に暮らしています。

命の軽い感じの生活と少しだらしないところにも
少し怒りながらも「しょうがないなぁ」と許してしまうところが可愛い。

楓から命はもちろん、
命にとっても楓がお互いに大事に思っているからこそのやり取りですね。

二重スパイだと明かしたときに
文鳥の女にすら嫉妬する楓ちゃんの姿には癒やし効果もあります。

小柄な身体ながら動きは大きく変装が得意で
武器に手裏剣を使いこなすところもキュートです。

実は学校の冬服の制服で
胸元にリボンなのは楓ちゃんだけなんです。


師匠チームは簡単に

まずは雪ですが、師匠らしくずっしりと構えていて
モモが憧れる存在なのも納得のこの人に付いていけば大丈夫と思えるような信頼感があります。

過去に師匠を目の前で斬られた悲しい出来事がありましたが
それを乗り越えてモモに教えられることの全てを授けたまさに師匠らしい師匠。


初芽ははつめ、発明が得意なはつめ。

女子高生が持っていても違和感の無いデザインの秘密道具を数多く作り出す
今のツキカゲには無くてはならない存在。

優しく笑いますがどこか怒らせると怖そうなオーラもあって
だからこそ白虎も手懐ける事が出来たんじゃないでしょうか。


最後は命、二重スパイでした!

口調など軽い感じのタイプだからこそ
もしかして本当に裏切ったのかもしれない…と思わせてくれる
今思えば二重スパイに最もぴったりな性格のキャラクターでした。

キャストである洲崎綾さんは事前に命が二重スパイであることを知らされていたようですが
実はアフレコ現場ではその瞬間まで他のキャストにその事実を知らせず
その時まで気づかれることもなかったそうです。

中の人も含めて二重スパイにピッタリの存在、それが命。

4話で聞いたあの感動的なギターの音色と歌声、
命と楓ちゃんの信頼関係が嘘にならなくて良かったです。



「りりスパ」は主題歌も良く
オープニングの「スパッと!スパイ&スパイス」は
一度聴くと忘れられないようなメロディと歌詞でキャッチーに、そして楽しく

エンディングの「Hide & Seek」では
しっとりと大事な存在を確かめるような歌詞になっていて
全話見終わったあとに改めて聴くと色々と感じるものがあります。

どちらもタイプの違う曲ですが
どちらも作品にあった良い曲だと思います。



他にもラジオやニコ生などのメディア展開も積極的に行われて
モモ役の安齋由香里さん、五恵役ののぐちゆりさん、楓役の藤田茜さんの3人のやり取りが絶妙で
アニメ作品から見ても、中の人から見ても楽しめるコンテンツに仕上がっていました。

またアニメの作中に暗号が隠されており、
すぐに分かるような簡単なものから、なかなか見つけづらい難しいものまであって
それを公式LINEに打ち込むと画像などが見れる取り組みも斬新だったと思います。


単なる可愛い女子高生のスパイものだけに留まらない
師匠と弟子の受け継がれていく強い関係性や印象的な楽曲の数々、
スパイならではの秘密道具などの細かいところから
終盤にかけての息を呑むような大きな展開からの格好いい戦闘シーンまで
様々なポイントをどこからでも楽しめる非常に密度の濃い、作品だったと思います。

「RELEASE THE SPYCE」、楽しくて可愛くて格好良くて、
そして素晴らしい作品でした。


<公式サイト>
TVアニメ「RELEASE THE SPYCE」公式サイト

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