最終回です。
11話をかけて集めたカケラもこれで最後。
最後の欠片はラストらしく、みなとも巻き込んで
宇宙船の力も利用して莫大なエネルギーを持つブラックホール相手にカケラを回収するという
普通に考えればものすごく壮大な展開なのに
この作品の広大なスケール感を持ってすればそれすらも当たり前のようにも感じてしまうのが面白いところです。
最初は地上から見えるほどの空だったのに宇宙空間に出て
少しずつ、そして一気に地球から遠くの惑星からその先に進んで行って
それから最後にこの宇宙の端と言える場所まで来てしまったと思うと本当に凄いスケールです。
無事にエンジンのカケラを全て回収したあとは
すぐに次の宇宙へと会長、プレアデス星人は向かってしまいましたが
最後に生みの親の1人とも言えるななこに対して気の利いた一言をちゃんと言っていくところに会長の優しさを感じました。
お別れは会長だけではなく、すばるたち全員は元々は別の世界線から集められたメンバーなので
"可能性"を自分が自分であることを選択した以上はそれぞれ元の世界に戻らなくちゃいけない。
ここまでみんなで協力して一緒にカケラを集めて仲良く慣れたのに
それが元の状態とはいえそれぞれ帰ってしまうのはやっぱり寂しいです。
それでもどこかで繋がっている
そんな絆を感じられる充実感のあるラストでした。
全12話終わりました。
なんと言えばいいのか、どうまとめるのがいいのか難しいのですが
とにかく素晴らしい作品でした。
テレビアニメ版の元となるYouTube版を公開時に見てから4年。
その長いようで短い時間を待っていた価値は十分にありました。
一度、二度見ただけで全ての設定を解説するのは難しいところもあるのですが
それを含めたストーリーの組み立て方、見せ方、キャラクターなど、バランスが良かったです。
「放課後のプレアデス」といえば富士重工、スバルが関わっていることでも話題になった作品ですが
過去に自動車会社が関わったいくつかの作品とは違い、
アニメ制作側に自由にやらせる心の広さが、この良い作品へと繋がったのは間違いないです。
スバルのロゴも第1話の冒頭のみで
あとは富士重工の文字がエンドロールで確認できる程度だったと思います。
(11話など関東エリアでの放送では、番組提供にスバルが入っていたとの話も…!)
作中に出てくるスバル要素としてはドライブシャフトのデザインやエンジン音、
一度だけ登場したEyeSightのような動作と音。
それから地名というのもあったと思いますが、
先端のフロントグリルからヘッドライト、
さらには他の細かいパーツまで実車がモチーフにデザインされて居るにもかかわらず意外にもすぐに見慣れて
どれもいつまでも主張が強くてノイズになるようなこともなく上手く作品に溶け込んでいたのは凄いです。
どうやらこれらのスバル要素も制作側が採用したようで
スバル側が押し付けて使わせたわけじゃないようで、さらにはエンジン音の収録にも全面協力するなどそこにも好感が持てます。
結果として作中でのスバル要素は濃くなくてもスバルのイメージアップに繋がったことでしょう。
これは今後の異業種が深く協力するアニメ作品の作り方にも影響を与えるかもしれません。
そして「放課後のプレアデス」の作品の作り方で本気度が伝わってくる他の要素といえば、宇宙、天文学の部分です。
宇宙が出てくるアニメ作品は珍しくないですが、
この「プレアデス」では国立天文台が協力、4D2Uを活用し土星の輪っかを忠実に描いたり
実際に公的に公開されている資料を参考に使用していたりと、
うかつな事を描くと突っ込まれる可能性のある部分についてもしっかり勉強して制作されているのは凄いと思います。
私も宇宙好き、と言っても宇宙開発がメインで天文は分からないことが多いのですが見ていて勉強にもなりました。
次にキャラクターについても。
言うまでもなくこの作品に登場するキャラクターに悪い人は居なくて、みんなそれぞれが良かったです。
すばるは星が好きで、最初の印象だけでは引っ込み思案でオドオドした感じのように見えそうですが、
もっとよく見てみると1人で天文部をやっていたり、
主に中の人から肉食系ヒロインとも言われ最終話で大胆にも見事にそれを証明してくれたように、かなり積極的な子でもあります。
1話を思い返してみるとカケラ集めに参加すると言い出したのもすばる自身。
しっかりと自分を持っていて、でも迷ってしまうと涙が出てしまう純粋さを忘れないヒロインです。
あおいちゃんは最初はすばるのナイト的なポジションに入りそうで
実際に全話見たあとではすばるを守るといったシーンは少なく、
でも11話で魔法を無くしたすばるを置いて他のメンバーで最後の欠片を回収しに旅立つ直前にすばるに声をかけに行くなど
すばるに最も近い場所にいるヒロインでした。
元のすばるの世界のあおいちゃんは1人だけ別の学校に通っていて物理的に距離感があるのですが
すべてが終わったあとの会話ではその距離を感じさせず、ずっと友達として関わってきた2人の友情を伺えます。
いつきちゃんは、ビジュアルだけ見ると落ち着いた冷静さがあるのですが
本当は5人の中でもかなり茶目っ気があって、よく見ているとすごく面白い子です。
ひかるとはまた少し違った方向で空気を盛り上げてくれる欠かせない存在です。
そして、ひかるちゃん。
こちらもまずビジュアルを見ると
よくある活発系で少しばかなタイプに見えてしまうのですが本当は全然違っていて
適度に力を抜きつつも周りをしっかり見た行動をして、
5人でもトップクラスの頭の賢さと冷静さを持つ優しい子で、
それでいて敵に対しては大胆にも直接蹴りを決めようとするなど大胆さも。
ひとりだけ制服が常時ノースリーブ状態なのもポイントで
アニメ本編を見ていて話が進むほど好きになっていく、そんな魅力がひかるちゃんにはありました。
最終話でみんなと別れた瞬間のひかるちゃんの反応からも
彼女の繊細さを感じ取ることが出来ます。
ななこはYouTube版から最も変わったキャラクターとも言われていますが
そのYouTube版と比較してさらに親しみやすくなったのでそれは良い変化だと思います。
まるで腹話術のように会長ことプレアデス星人の通訳をどんな状況でもしっかり、そして楽しそうにこなす、
ただし表情は無表情に近いのが面白いところ。
多くはないものの時折見せる歳相応の優しい表情が魅力的です。
他にもそれぞれのヒロインの家族が優しくて暖かくて、
子どもたちが主人公の物語だとどうしても邪魔になりがちな親要素を
この作品では物語の中でも重要なポイントにしているのが良いですね。
それぞれの親がなかなか個性のある方々なのも面白い。
次に主題歌、音楽。
物語を盛り上げ印象的なものに仕上げるのに必須なのが音楽ですが
この作品に使われている音楽もまるで星空のように聴いていて自然と入り込んでくるようなそんな気がしました。
主題歌も勢いと力強さと爽やかさのあるオープニング、「Stella-rium」。
ユニット「fragments」として
メインキャストが歌う「ここから、かなたから」からは
作品にぴったりな透明感と、途中に入るセリフを含めた可愛さが特徴で
冬に星空を眺めながら聴いてみたくなる、そんな名曲です。
どちらの主題歌も、アニメを全話見終わった今、
改めて歌詞に注目して聴いてみると聞こえ方がまた違って思えるかもしれません。
惜しい、というか悔いが残るという表現があっているのか分かりませんが
勿体無いなと思ったのは、せっかくメインキャストで「fragments」というユニット名を付けたのに
本人たちが何かしたいとの発言が随分前から確認できていたのに、現時点では具体的な活動が行われていないのが心残りです。
そのためにも第2期を、と言いたくなりますが
これだけ綺麗に最終話をまとめてくれたのでそれが良いのかも悩むところです。
でもそれまでにもう少しだけ今告知されている様々なメディア展開を楽しんでおきたいです。
その中にfragmentsの活動も含まれていればもっと良い。
本当に素晴らしい作品をありがとうございました。
「放課後のプレアデス」に出会えて、見られて、良かったです。
『またいつか。』
<公式サイト>
放課後のプレアデス / SUBARU x GAINAX Animation Project ※音量注意
<関連エントリ>
[放課後のプレアデス] - 深夜アニメ実況の果て