いま必要なのは真昼さん! 小説「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」(~4巻)

2023年1月からTVアニメも絶賛放送中の
「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」(「お隣の天使様」)


原作小説では第4巻で大きな区切りを迎えるので
まずはそこまでについて語りたい!


(※以下、原作小説第4巻までのネタバレを含みます)




まず主人公の藤宮周(あまね)と
ヒロインの椎名真昼の設定と距離感が絶妙なんです。


2人は事情があって一人暮らしをしていて
しかも部屋が隣同士

しかしこれまでほぼ交流はなく
一年生の半分以上を過ごしてきたところでの偶然の出来事からお互いの関係が変わっていく


勉強も運動も出来て、容姿も完璧で、所作も非の打ち所がない
まさに完璧な姿に学校では「天使様」と呼ばれる真昼。

周はそんな真昼に話しかけるなんて今まで無かったし
これからも関わるつもりは無かったのに

偶然家の近くの公園で傘もささずに濡れているところに
周が見過ごすことが出来ずに傘を半ば強引に渡すところから始まる。


このように関係は偶然から始まって
それでも最初はお互いに意識することなくクールでドライで事務的で

どこか不器用な2人だったけど
周りの人達からのきっかけや勢いが少しずつ重なっていき、次第に距離が近くなっていく

この距離の詰め方が、いいい!


もしも隣同士じゃなかったら
もしもあの日公園で真昼が雨に濡れて落ち込んでいなければ
周が傘を渡さなければ

周と真昼が近づくことはなかったし
学校では完璧な笑顔の真昼もこれからもずっと1人で闇を抱えて生きていったでしょう。

そもそも周が真昼を放っておけなかったのも両親の教育の影響も大きく、
真昼の手料理を素直に「美味しい」と必ず褒めるのもきっとそう。
真昼の事を名前で呼ぶようになったのも母親が周の部屋に襲来したことがきっかけだし

積極的じゃない2人を少し強引ながらも
周りが少しずつ後押しする形になるのも良い。


これまでの人生で人の温もりを与えられて来なかった真昼にとって
生活がダメダメな周を世話することや、料理を美味しいと言ってくれること、そして苦しい時には必ず寄り添ってくれるところ、
そんな周に真昼が惹き込まれていくのは当然のこと。


明らかに好意を自覚し始めてからの真昼さんは強い、本当に強い。

学校では絶対に自らに触れさせるなんて絶対にありえないのに
家に帰ると気軽にスキンシップをしてくる

学校では他人を寄せ付けないクールさ、家では外で絶対に見せない表情でデレデレ

はい、もう最高です。


それでも自分に自信がない周は真昼へのもうひと押しの積極さが出せない、
気軽に真昼を撫でるくせに!

そんなあと少しの距離感のまま2年生へと進級して
同じクラスになった途端に真昼さんの積極さがさらに一段アップして可愛すぎるでしょこれ!

初めは初対面のように、少しずつ千歳をきっかけに話かけるように、
少しずつ少しずつ学校でも距離を詰める

学校でももっと話しかけたい
学校に一緒に登校したい

もうここまで来たら真昼さんは止められない!


ついには体育祭で大きく動くのですが
その手段も学生生活らしくてまた良いんですよ。

(高校にしてはレア競技の)借り物競争でお題の「大切な人」として周の手を引っ張って
まずは周りの生徒に軽く、いや、強めに牽制。

すると当然、周は他の男子生徒から詰め寄られますが

そこに周くんの事を悪く言わないでと現れる真昼!


これが、この展開が、ずっっっと見たかったんです。


真昼はあくまでも学校では物腰も柔らかく勉強も運動も出来て
決して怒ることなんてない、多くの人に愛される「天使様」
(その反動で一部の女子には嫌われてしまっていましたが…)

その「天使様」が周を、それも直前に「大切な人」と表明した周のために
静かに、でも明らかに分かるように怒りを表現して周のことを庇ったのです。

これ最高でしょ?

普段絶対にそんな事をしないヒロインが
人のために怒ってくれるなんてこんなに嬉しいことはないです。

ここまで言われたら少し勇気のない周でも真昼の気持ちは、本気度は分かりますよね。


2人の関係が大きく前進したのがこの第4巻までのストーリー。


外では完璧な天使様で、家では猫のようになる真昼と
どうしても自信が持てない周

でも急に大胆にスキンシップを取ってくる小悪魔にもなる真昼は
絶対に学校では見せない特別な姿

もうこれだけで最高なんです。


特殊能力も無ければ異世界にも行かないしゲーム世界に閉じ込められることもない

この純粋な2人の絶妙な距離感の恋愛物語、
これこそが今こそ求められる作品なのではないでしょうか。

真昼さん、最高なんです。

真昼さん、欲しい。