アニメとして最終回の締め方としては
これがベストだったのでしょうか。
以下、原作ゲーム組としての感想になります。
特に終盤にかけての流れはアニメオリジナル要素が大きく
原作側からあまり口を出さず自由に作らせたらしいので
こういう流れになったのでしょう。
なかなか悩むところではありますが
少なくとも最終話にしてBGMに「Dear Moments」が流れたり
エンディングに「光放て!」が使われたのは素晴らしい
機能停止の期限までに1日を残して
エデンに収まったのは原作通り
アトリにとっても夏生にとっても
ハッピーエンドと呼べるものにはなりました。
そう、アトリにとっては。
原作ゲームでは老後のシーンで
夏生はと水菜萌と結婚したことが明らかになります。
つまりアトリが居ない間もずっと水菜萌が支えてくれた
幼なじみの水菜萌の大逆転勝利なのです。
それなのに!
アトリの夏生さんを任せようと提案したのに
対しての水菜萌の「それは出来ないな」の返答
最後の水菜萌の勝利を楽しみに
このアニメ化を見ていた部分もあるので
どうして!!!という気持ちが抑えられませんが
監督やシリーズ構成・脚本が描きたかったのはあくまでも最後までアトリを中心とした物語なのでしょう。
ある意味、花田十輝さんらしいです。
そんな数々のアニメオリジナル要素の中でもどうしても気になるのが
作品に視聴者(ユーザー)を引き込むための仕掛けを意図して排除したことでしょうか
例えばアトリの45日の期限というのは
物語の序盤でアトリの口から出てくるもので
45日後に、45日間だけ待ってくれたら
あとは売るなりして新しい義足を買ってくださいくらいしかヒントを与えず
物語序盤ではしばらく45日後に何が起こるのか分からないまま進行します。
船に貼られたカレンダーに毎日1日ずつ印を付けながら。
そして徐々に記憶の欠損が出始めて、
45日後に機能停止することが発覚することで
一気に物語に引き込む、というもので
言うまでもなくこの作品のコアになる部分なのですが
アニメではこの点が大幅に変更されています。
さらに婆さんが海面上昇に備えて計画したエデンに対する言及も
アニメでは最終回の直前になって出てきたので
どうしてもストーリーの都合上の後付け感が強く出てしまったようにも見えました。
全13話のうち2話分をCM無し放送をしましたが
やはり序盤からそのような感じはしていましたが
どうしても細かい描写をする時間が足りなかったのではないでしょうか。
アニメ化が発表されたときには
「ATRI」はミドルプライス作品でありルートも1本道、さらにはプレイ時間も比較的短く、
1クールのTVアニメにしても無理なく物語を描ききれると予想していただけに意外でした。
これらの変更の煽りを大きく受けたキャラクターが婆さんであり
実際はそうではないのにまるで悪者のような描かれ方をしていたのは婆さんと言えど少し可哀想に思いました。
先述した水菜萌については現在は町長であり、そっくりな孫が登場したので
誰の子供か明言されていない以上、原作通りに夏生と結婚した可能性も残されていますが
70年後のシーンで一瞬映った水菜萌の後ろ姿と共に町長室においてあったネームプレートには
見慣れた名前「神白水菜萌」と書かれていたのでハッキリとした答えは出そうにないです。
水菜萌も大好きなヒロインでキャラクターなので希望を持ちたいところですが
これ以上は深く考えないほうが良さそうです…。
あとは主題歌については何とも言いづらいのですが
まず大前提として
乃木坂46や22/7のメンバーは何も悪くありません。
しっかり仕事をしただけです。
それを前提に言いたいのが
なぜ乃木坂46をオープニング主題歌に起用した?
アニメの制作がA-1 Picturesで
乃木坂46のレーベルがソニーミュージックという繋がりなのでしょうが
ただでさえ48や46系アイドルと
アニメファンの相性は伝統的に良くないのに、
海面上昇で未来が見えないような世界観とアイドルは正反対の要素なのに、
そして原作主題歌である「光放て!」の評価が非常に高い「ATRI」で
あえて乃木坂46を起用した判断には疑問を抱かずにはいられませんでした。
主題歌発表時にはアトリに両アーティストの衣装を着せた描き下ろしイラストが公開されたり
各話放送終了後にはアーティストが写真付きでコメントをアニメ公式SNS(X)に投稿されたり
他作品での通常の主題歌を担当するアーティストと比べても破格の扱いで
やはりアニメのためというよりも、楽曲の宣伝を重視した主題歌起用だったのではと思わざるを得ませんでした。
本編中にOP主題歌が流れてしまうと本当に作品の雰囲気を壊しかねない不安がありましたが
そこはしっかり守ってくれたので最終話を見終わって一番安堵しましたし
最終話のエンディング曲として「光放て!」を採用してくれたのは嬉しかったです。
せめて、オープニング主題歌は作品の世界観にあったアーティストや曲を採用して、
通常エンディングでは遊び心をいれる方向なら良かったかもしれません。
以上、物語のコアとなる部分の変更や主題歌起用の謎については
どうしてもアニメ「ATRI」語る上ではスルーすることは出来ませんでした。
ゲーム「ATRI」が評価されたのはその世界観と
それを盛り上げる主題歌にあると思っていただけに
そこを変えてしまうのはさすがに想定出来なかったです。
しかしTVアニメ化したことで
元気に動き回って飛び跳ねるアトリや
優しくさせてくれる可愛い水菜萌を見ることが出来たのも事実
キャラクターが動くことで各キャラの解像度が上がったのは
アニメ化されたおかげです。
そしてアニメ放送が始めってから販売数が50万DLまで伸びた
原作ゲームをプレイしてくれる人が増えてくれると嬉しいです。
<公式サイト>
アニメ「ATRI-My Dear Moments-」公式サイト
<関連エントリ>
ATRI-My Dear Moments- カテゴリーの記事一覧 - 深夜アニメ実況の果て。